中国の私的経済の原点と全体経済の仕組み&背景・メモ

調べてみた

あるネット記事の記述であったのが引用した以下の記述だ。

WTO・西側の中国に対する非難は、

中国政府が製造業とハイテク産業に援助と補助金を 提供すること」だと。。

 

では、なぜ中国は民間の産業にあるいは国営企業に支援や資金を提供するのか?

この中国の建て付けをフォーカスすると、特殊な風土と構図の存在が浮かび上がります。 いくつかのキーワードが見てきますが、小欄は「老闆・ラォパン」を切り口に記述を進めたい。

「老闆・ラォパン」

中国語に「老闆」と言う単語があります。

台湾語での発音では、「ラォパン」で、意味は、教科書的解釈では、主人(しゅじん、ごしゅじん)、マスター、店長(てんちょう)ですが、直感的には、親分、大将、親方、日本的な棟梁、時には「アニさん」と言った、親しみや目上の人への配慮をこめつつ、クダケた、カジュアルな場面で、相手に語りかける時に使われる表現になっているようです。

実際、台湾で経験的に、商店や売り場、屋台、レストラン等の店で、男性店員に声がけして呼ぶ時、「おい、店員」とか「店員さん」「すみませ〜ん、あの。。」と言うような場面になりますが、都合いいのが「老闆」です。 

「老闆」と呼びかけて、嫌な顔をされるケースは、上段のクダケた、カジュアルな場面では、まずありえません。

例えば居酒屋や行きつけのレストランで、 「ラォパン」と呼びかけるのは、ちょうど日本の寿司屋などで、板長や、キッチンの親方、ボス、あるいは店のオーナーに、丁寧語と尊敬語、あるいは親しみをミックスした表現で使われる単語で、慣れると実の使い勝手がいい、便利な言い回しです。

中国社会はコネ社会で人脈と賄賂が勝ち組の潤滑剤

人民解放軍は中国共産党と一体化した軍組織で、国軍とは名ばかりで、実態は中国共産党の軍隊。 つまり「中国の兵隊さん」ではなく、正確には中国共産党軍で名称が「人民解放軍」、略称がPLA。

中国共産党の軍隊で、『2013年ミリタリーバランス』によると、2012年11月時点の人民解放軍の人員数は、現役兵は228万5千人、予備役51万人と推定されている巨大集団です。

 軍需リソースになる産業はすべて人民解放軍に傘下に組み込まれますすから、産業界、教育研究、学会等をふくめると、その数は倍以上になる。 

主要な軍需産業には、軍OBや関係者が在籍しており、中には1億人と言われる共産党員とラップする部分も換算すると、火器を扱える、集団、つまり暴力装置として、共産党にいざとなれば、物理的対応能力をもつ唯一の存在ということになります。

人民解放軍内でのインフォーマルな人間関係

そこでの  兵役義務が何年であるかは知りませんが、例えば3年と仮定します。

除隊時期が近くなる頃になれば、プロパー軍人と何らかのコネを作り上げているのが普通です。

物語です。。

 とある連隊の習遠平上等兵(最下級の兵士の階級が「列兵」でこの上の階級が上等兵)は除隊前の重要な個人的な作業は、除隊前に、上官で、これはと思う人脈の厚い、可能性のある複数の人とのコネクションを構築する必要があった。 なぜなら習遠平は農村戸籍を持つ兵士であり、一人っ子である。 除隊後の就職を考えると、農村戸籍で都市部に職を求める習上等兵には、後ろ盾になるコネが必要なことくらいは、3年の軍生活で習得した、貴重な人生の知恵だった。

 周りの同僚兵も同様で、皆、何かしかのコネを付けて、上官とよしみを繋ぎ、その上官をラォパンとして、固い親分子分の関係を確立し除隊するのが一般的な風潮であることくらいは、皆、軍隊生活で取得した知恵であり一般的な常識事項だった。 ラォパンとして献身的に仕えることで、除隊に際し「何かあったらいつでも来い、俺はお前ラォパンだ」と送り出してもらえる。 習上等兵のラォパン、邱永全一级军士长(一級軍士長)は、これまで破格の出世をしたことは、小隊内のもっぱらな噂であり、コネをつけるには勝ち馬に限るのだ。。

 

赤い熨斗袋にいれた500元、1,000元が後に何億に化ける

上官であるラォパンに礼を尽くして除隊を迎えます。 ヒョとしたら、お世話になったことの逆選別金を赤い熨斗袋で渡すくらいのことは、気の利いた中国人なら不思議ではないし、ラォパンこと、上官は、鷹揚に受け取るはずだ。 この時の500元、1,000元が後に何億にも化ける、最初の一歩になるのだ。

そして、中国社会では、どんな社会の片隅でも行われている、人間と人間をつなげる中国の風土であり基本価値だと思うのは普通のことなのだ。

除隊後は、実社会で経済活動

除隊後の兵の多くは、建設工事、工場、市場や運輸関係の現場と、ありとあらゆる分野の職場で雇用され、経済活動に入る。 そこは、時間的拘束はあっても、軍隊につきものの、厳格な規律無いだろうから、「仕事が楽で、高収入を得る」ことができれば、その時点では勝ち組だ。

この実社会で、上昇志向の高い中国人は、絶えず、24時間どろか1日28時間以上の間、常に金儲けのアイディア、ネタを探り、考える。

器用にそこそこの企業に雇用されれれば、その仕事をマスターして起業することも可能だろうし、ときにはマスター・熟練、あるいはエキスパートとしてのノウハウを武器に、ライバル企業へ好条件でとらばーゆするケースもあるはずだ。

幸運の女神が微笑む時

こうした上昇思考全開中のある日、幸運の女神が微笑んでくれる時が必ず到来するのは世の常だ。

アイディア、構想ができたら、機を見て、ラパンに渡りを付けてアプローチ開始だ。速攻で、ラパンにご注進し、進講することになる。 会って構想を説明し、足りないものへの助力を相談するのだ。

資金、人材、更に詳しい情報、組織や企業構築にノウハウのすべてだ。

アプローチの手法は食事や宴会の接待で、そこで金と色で饗応し、帰り際には奥方への贈呈品を手土産として、丁重に送る。 

彼の第一歩は、まずは、連れ出して、接待する資金の確保と、プランのプレゼンだけだ。

除隊後に雇用された企業の経験は、ライバル企業としての起業を想定しても、そのためのリアルで有効な経営情報は身につけているはずで、ラォパンが、話が行けると思ったら、ラォパンのお膳立てにしたがい即実行だ。

相談者が資金を必要なら、軍組織では、上級下士官くらいになれば、どこのだれに相談すれば、金が出てくるか、将校クラスにも、縦横のつながりができあがっているのが、全体主義国家という特殊な経済・社会システムの環境下にある大規模組織のクローズドなそしてインフォーマル組織の底力だ。

一例をあげよう

兵員の水増しさえできれば、各階層各組織で、それなり金が生まれる仕組みがあるのが軍隊という荒削りな組織、社会の特徴だろう。

仮に定員1,000〜1,500人規模の連隊で、炊事班の責任者なら、50人分の食材費用を節約すことくらいは楽勝だろう。 一日一人あたりの食費、それも3食まんべんなく50人分の予算を、仕入先とツルムことくらいは簡単な話だ。  まして、すでに国のすべての組織、階層で、裏金とリベートが動く風土が出来上がっているのが現状であれば罪悪観などあろうはずもないだろう。 

文化なのだ。人民解放軍・PLAでは、階級の昇級、官位すらこの文化の手加減がものを言う。

瀋陽軍区

中朝国境がある軍管区は、旧満州を含む北部軍区で、かっては、瀋陽軍区と呼ばれた。

上海・北京からみれば辺境の軍区でありながら、すべての便宜を北朝鮮に図れることで、それが大きな利権になっている実の美味しい軍区だ。

軍管区は伝統的に「軍閥化」しており、北朝鮮は、圧倒的にすべての資材、機材、食料が恒常的、絶対的に不足しているのを知らないほど間抜けな軍閥関係者はありえない。 軍の兵站物資を購入できる環境、それを横流しする環境を整備するだけで、潤沢な資金をプールできるし、軍区が管理する資材であれば、もともと横流しくらいは通常運転だろう。

昔から、北朝鮮という顧客を持つ瀋陽軍区はその意味で、最高に美味しい利権に預かることができるパラダイス的存在の軍管区だったと言われてきた。

中国共産党は、いわば国家利権のホールディング会社、これが裏の顔だ

このような組織にあっては、ラォパンとのコネができていれば、深刻な起業資金に悩む問題は皆無だろう。

足りない技術に関しては、その人材の手当、補充も可能だし、商品の販売組織構築にラォパンが知恵を出せば、そのコネの範囲内で、必ず解答がアウトプットされる位の仕組みが出来上がっている。

スケールメッリット効果が見えてくれば、そのプロジェクトはそれだけ大成功だ。

起業家になる習遠平元上等兵は、未来のジャック・マーであり、起業する会社は未来にファーウェイそのものだ。 最も重要な仕事は組織の拡大と、新たなる起業アイデアとラパンを繋ぎ留めておくことで、努力と情熱、全てエネルギーをそこに投入するだけだ。

やがて人脈の大きさ、品質次第で、資金調達は、それなりに金融機関が担当することになる。 こうなれば、ビジネスの安定に必要なのは、人民解放軍と共産党を横断する人脈組織の破壊力次第で数年の短期間で業界の主導的な環境を確保するのは夢ではなくなる。

共産党はホールディングの仕組みの中にアナーキズムの論理を組み込むことで、超法規的例外と特権を確保し、起業した組織を巨大なエンタープライズに確実に発展させてくれる。 それはとりもなおさず、独占的地位をゲットできるからだ。

そのためには、金、色、接待が三点セットになる。

なぜなら、人民解放軍は、中国共産党と並ぶ巨大コングロマリットであり、裏向きの組織力からみれば、かっての日本経済が右肩上がりで上昇中時代の総合商社的機能を最大化した組織と表現すれば、全貌は掴みやすいだろう。

かっての総合商社は、需要を創りだし、組織化し、そこに商社金融をはめ込み、オートマティカルな収益構造を仕立て上げていた。 中国の一帯一路プロジェクトの建付けは、AIAB金融機能とて商社金融同様で、プロジェクト計画との組み合わせは、日本の総合商社機能と活動を投影させたものと認識できる。

「豚は太らせてから食べる」という哲学

アリババ、テンセント、外資企業だがテスラ、最近話題になった、配車アプリのDidiは食べごろになったから、独占禁止法ナンチャラで機能不全に追い込み、そこを国が救済という形で限りなく国営的企業体として中共ホールデングの系列企業に衣替えさせるというチャイナマジックを演じる。 まさに中共ホールディングは巨大で、豪腕なレッドマジックハンドラーだ。

件のDidiとて、NY市場での募集公示価格を数十パーセントアップの加熱状態の時、ウォールストリートの幹事金融機関と中国共産党あるいは政府との出来レースで、アプリの不備を理由に制裁というネガティブ環境を作り出し、株価が暴落した時点で、幹事会社と中国政府、あるいは共産党が買い戻す。

それだけで関係当事者は、濡れ手に泡に同様のビッグマネーをゲットできる仕組みのはずだ。

ブラックホールに吸い込まれるディープステートのマネー

ディープステート・米国巨大金融資本はまるでブラックホールに吸い込まれるように中国市場に吸い寄せられるのだ。

全体国家の強制力があれば、投資計画は確実に、計画通りの進捗で実現できる。 共産党と一帯になった巨大プロジェクトであればあるほどリスクは現象し、通常ビジネスにつきまとう不透明要素は、共産党ホールデングスという仕組みの中では一切存在しない、究極のソフィスケートなシステムなのだ。

それがなければ、中国高官の私宅から、日本の東京都をのぞく道府県の予算規模の賂金が現金で露見する説明がつかない。 別名義の別宅が完全な金庫同様の構造であったことなどは特別の事例ではないようだ。

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