「楓橋経験」むき出しの中国語で、現在進行中の中国異変に関連するキーワードとして、大変興味深い原点のようなもの感じて、2023年9月30日深夜にそれを解説するコンテンツがヒットしたことで本稿を投稿。
数日前に、今年8月以降10月に至る中国の異変に注目した時、どうやら今回は来るべき事態のステージであるような印象で、別稿で気が付いた異変のアウトラインにアプローチしたが、その時点はキーワード「楓橋経験」は全くヒットすることなく、単にいつも中南海での「理解難い異変」であったものが、1960年代の中国で激しい政治運動というなの反革命分子の粛清が展開されたのが文化大革命であったことは保守、リベラルを問わず共有されている歴史の部分である。
楓橋経験
その文革の起点になったような事象、状況がキーワード「楓橋経験」であるということが、中華系帰化日本人の石兵氏が発信されるyoutubeコンテンツで判明した経緯がある。
ザックリ言えば、”1960年代初頭の浙江省 紹興 諸暨市 楓橋鎮で生まれた治安管理の新しい方式”とのことだが、ここでの一見論理的な説明のような体裁である用語が、その後の文革の行動をする、つまり反革命運動に参入する一般大衆の行動を政治的正当化する方式に、言うなれば化学変化をしたものとすれば、ニュアンスの理解は容易になるかもしれない。
文革の仕掛人は毛沢東自身で、出発点は権力闘争であり、その権力保持思考、実現へに手法として反革命分子の粛清があり、その粛清の実行者が公安担当でもなく、警察権力でもなく、人民解放軍でもない、いわば「革命群衆」を動員することで毛沢東の権力基盤が維持される結果になった。
その起点を指したものが「楓橋経験」だ。
革命群衆の行動自体に法的根拠などあるはずが無い。
単にそれが革命のための行動、集会、反革命分子への制裁と言う行為にも本来の法的規制が課せらることなく、すべてが革命の名において動員され、権力者の政治的意向の走狗、無頼と化しても、それが正当化された異常な事態。
つまりその過程で、本来存在していたはずの公権力が持つ司法、公安、警察力が革命群衆を生業・規制することができない状況を作り上げた。。。
石兵氏のコンテンツから関係部分を文字お越し
本来治安・警察行動は国家の公安警察機関のよって執行管理がなされるのに対して、1960年代初頭の楓橋鎮では、一般住民が「革命群衆」として動員され、「革命群衆」が主体となって既存の公安と連携する形で管内の「階級の敵、悪党」を監視・管理し治安と秩序の維持に当たる」方式。
これが1963年にはこの方式が「楓橋経験」呼ばれるようになり、「成功した経験例」として浙江省公安から中央に報告された。
同年11月に毛沢東がその成功した経験例を高く評価して「各地でそれを習い広げるよう」との指示を出した」
以来、「楓橋経験」の適用は全国的に広がり、国民全員が動員され、政権が指定した「階級の敵・社会の悪党にあたる反動分子、破壊分子」を監視と抑圧に任ことから、結果全国民による「6億総警察」化の様相を呈した恐怖社会が形成される事態になった。
中国共産党的歴史観では、その事象をして毛沢東による「楓橋経験」方式という革命のための治安・警察の前衛的な形、あるいは仕組みとしてこの方式が全国的推奨と広げた。
さらに其の二年半後に発動された「文化大革命」・大粛清運動の準備の一環になったのが「楓橋経験」方式と言われた。
文革肯定派にとっては文革黎明期の評価されるべき全国民総参加の文革の中核、あるいは文革の基本的な運動・行動になった。
その結果、十年間に及ぶ文化大革命期間に約1億人の人々が政治的迫害を受け、その中の数千万人が殺されたり、自殺に追い込まれ、命を失なうことになったが、その起点になるキーワード。
それが、なぜ今?
結論から言うなら、習近平政権は、少なくとも、この2か月余りの海外メディア、とりわけ、欧米紙、さらに中華系のそれも中国外で活動するメディア人、言論人の情報を精査すると、異変とも言うべき混乱が社会全体、経済、権力内で生じているいることを高頻度で発信されている。
以下のリンクはその一部を紹介したものだ。
習近平主席は文革パート2を目論む
すでに米紙は現在の中国をして「調理中の圧力鍋が加熱で加圧され爆発寸前の状態」と発信した。
制度がことなるので閣僚と言う表現は適当ではないようだが、外務大臣や国防大臣が消息不明になっているし、習近平主席の肝いりで創軍したロケット軍の中枢上級幹部が総入替えをするほどの大粛清を実行している。
中国経済の根幹をなす不動産業が完全破綻しており、結果地方財政が行きずまり、給与の支払いがされてない状況が明らかになったなど、複数の異変が目白押しで、経済の仕組み、社会での大きな矛盾が表表面化している。
残された起死回生の策
習近平氏に残された手法は限られている
社会不満と閉塞感の解消に手っとり早い手法が台湾侵攻であるが、ウクライナ戦争で、仕掛けた盟友・プーチンロシアの戦況が想定外の状態で、武器弾薬の融通を北朝鮮にまで依存しているような状態と、西側先進国による対ロ経済制裁の激しさを間のあたりにしているだけに、今すぐ台湾侵攻は出来ないはず。
となれば、習近平主席は毛沢東が選択した手法を模倣、踏襲する可能性があり、今回の「楓橋経験」でそのことがあからさまになった。
お頭の弱い中国民族派の紅い右翼
石兵氏は、今回の楓橋経験に関連する楓橋鎮での講話を見る時、文革パート2狙いは排除できないと推測する。今周囲にある困難な問題解決に、お頭の弱いピンクちゃんと保守が揶揄する小粉紅や、日本にせっせと嫌がらせ電話をしてくる、民族派の紅いチャイナ右翼が健在であることは証明済だ。
彼らが、21世紀の中国の紅衛兵にすり替わるのは、さほどに難しくはないはずと推測する。
中共お抱え三メディアがプロパガンダ記事で横一線
楓橋鎮での講話のタイミングで、人民日報、環球時報、新華社は同じタイミングで宣伝・プロパガンダ記事を掲載したことを石兵氏は紹介しているだけに、講和が単なる講話ではないように思うことしきりだ。
いい展開になりそうだ。。
キーワード「楓橋経験」を発信した石兵氏の動画コンテンツ
石兵氏のYouTubeコンテンツの制限リスクは、経験的少ないだろう判断して、埋め込み挿入します。
本稿で取り上げた「楓橋経験」に関する説明情報は、2023年10月1日現在、最も理解し易い解説だろうとの理解で、石兵氏の解説を手短に文字起こしたのが上段です。
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